船舶海洋試験水槽へようこそ


船舶海洋試験水槽(通称・雲の上水槽)と回流水槽  

なぜか山の上にある船舶海洋試験水槽は”雲の上水槽”と呼ばれ、この設備を用いて,船舶や海洋構造物など,

浮体の流体力学的特性について研究している。                             

主な研究テーマとその内容は次のとおりである。                            



1)運動している浮体に働く流体力に関する研究

 波浪中にある浮体は縦揺れ,横揺れ等6自由度の運動を行うが,浮体の運動特性を把握することは,運航,   

操業面からも,重要な課題である。                                  

船体のように細長い浮体に働く流体力の推定は,長さ方向を除き大部分は完全流体として取扱うことができる。

運動している浮体に働く流体力,特に,操縦運動をしている船舶について浅水域を航行する場合も含め,船体に

作用する流体力,なかでも非線形流体力に関して推定法の研究を行っている。               



2)風波浪中の浮体運動に関する研究

 風や波浪のある海面における浮体の運動,ならびにそれに伴う諸現象を力学的に解明して,浮体の安全限界を

追求する研究分野である。                                      

浮体に働く流体力,波浪外力に関する研究成果をベースとして,船舶に対しては甲板上への海水の打込みを考慮

した横揺れ機構と安全性を,海洋構造物に対しては大傾斜時の動揺と安全性に関し,現象の非線形性を考慮しな

がら,その安全対策を含め研究を行っている。                               



3)船舶の抵抗および推進性能に関する研究

 船舶の燃料消費と密接な関係にあって,最近特に省エネルギーの立場から注目されている船型やプロペラの 

性能に関する研究分野である。                                    

船体まわりの流れの観察,検討をはじめ,造波抵抗や粘性抵抗の理論,プロペラ理論,船体・プロペラ・舵の 

相互干渉の理論等の研究成果を適用して,エネルギー消費の少ない船型ならびにプロペラの開発について応用  

流体力学の立場から研究を行っている。                                 





主要設備の紹介 

(1)船舶海洋試験水槽

 船舶関係の試験:船体抵抗-自航試験,プロペラ単独試験,波浪中運動・波浪荷重試験,         

         波浪外力-波浪中抵抗増加試験,推進性能に関する諸試験等              

 海洋関係の試験:浮遊式海洋構造物の波浪中運動・係留ならびに強度試験,浮消波堤・工漁礁・各種ブイその

         他海洋開発機器の性能・特性に関する試験等                     
 

コンテナ船の抵抗試験 貨物船の波浪中運動計測試験

船舶海洋試験水槽配置図

(1)曳引車   (2)造波装置  (3)造波装置油圧源 (4)消波装置 (5)造波制御室
(6)実験準備室 (7)浄化装置室 (8)観測ピット (9)トリミングタンク (10)定盤
(11)計画室  (12)技術員控室 (13)工作室 (14)解析室            
 

水槽要目                           
本 体   :長さ60m 幅4m 水深2.3m                  
トリムタンク:長さ4m  幅1m 水深0.5m                   
曳 引 車 :駆 動 方 式 可変速度交流電動機 2台           
       速 度 範 囲 0.3〜3.0m/s                 
       加 減 速 度 0.06g                    
       速度安定度 1mm/s                      
造波装置  :駆動方式 電動油圧サーボ                   
       最大波高 300mm                       
       波長範囲 0.7〜17m                     
付帯設備  : 消波ビーチ,側壁部観測窓,水槽底ピット,可搬式側壁部消波板  
使用模型船 :長さ 2〜3m                          
(2)船舶海洋試験水槽付属主要計測装置
*抵抗動力計:全量式 容量 ±3kg                                   
*自航動力計:全量式 容量 スラスト±3kg、トルク±3kg−cm          
              最高回転数30rps                
*プロペラ単独試験装置:方式,容量は自航動力計と同じ            
*模型位置検出装置:無接触式                        
*6自由度運動計測装置:ロッド−副台車式,ポテンショメータ検出       
                                   計測範囲 前後揺れ ±300mm            
                                  左右揺れ ±250mm                 
                                  上下揺れ ±250mm                 
                                 横揺れ ±30゜  縦揺れ ±30゜          
                                   船首首揺れ ±90゜                 
*その他 波力測定用計測装置,波高計等                    
(3)小型回流水槽(5号館)
小型模型を用いて,流れの可視化、流速・圧力・流体力の計測など,主として定性的
な実験を行う。                               
 

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Dept. of Naval Architecture, Fac. of Eng.
Nagasaki Institute of Applied Science / Nagasaki Japan

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